福利厚生費について最低限知っておきたいこと

福利厚生費とは?

福利厚生費は基本的には個人事業での従業員に対して使用するものであり、事業主本人には適用されません

福利厚生費は従業員と事業者との見方を変えると認識が異なる経費となっています。

従業員から見た福利厚生費・・・会社から当られた手当で給与を除いたもの

事業者から見た福利厚生費・・・従業員に対して支払う給与以外の費用

事業者から見ると福利厚生費は事業者に義務付けられている法定福利厚生とそうでない法定外福利厚生の2つにわけられます。

福利厚生費には明確な基準がありません。従業員の生活を向上させることで仕事の能率等があげることを目的とする費用と考えましょう。

課税対象かどうか

宿・日直料

1回当たり4,000円以下の部分は非課税となります。

※給与にスライドして計算する場合、代休を与えている場合、本来の職務となっている場合は課税

残業・日直・宿直等の食事

残業・日直・宿直等の食事は非課税となります。

※夜食の現物給与に代えて、給与に加算して金銭を定額で支給する場合には1回当たり300円以下は非課税

創業記念品

以下の要件を満たす記念品等は非課税となります。※金銭を除く

1.社会通念上記念品としてふさわしいもの

2.処分見込価格が1万円以下

3.一定期間ごとに到来する記念については、おおむね5年以上の期間ごとに支給するもの

食事の現物給与

食事の価格の50%以上の対価を給与所得者から徴収している場合は非課税となります。

※50%を超える場合又は、月額3,500円を超える場合はその全額を給与とします。

従業員レクリエーション旅行の事例

従業員レクリエーション旅行や研修旅行を行った場合、使用者が負担した費用が参加した人の給与として課税されるかどうかは、その旅行の条件を総合的に勘案して判定されます。

1.旅行の期間が4泊5日以内

※海外旅行の場合には、外国での滞在日数が4泊5日以内であること

2.旅行に参加した人数が全体の人数の50%以上

工場や支店ごとに行う旅行は、それぞれの職場ごとの人数の50%以上が参加することが必要です。

従業員レクリエーション旅行の場合は、その旅行によって従業員に供与する経済的利益の額が少額の現物給与は強いて課税しないという少額不追及の趣旨を逸脱しないものであると認められ、かつ、その旅行が次のいずれの要件も満たすものであるときは、原則として、その旅行の費用を旅行に参加した人の給与としなくてもよいことになっています。

国税庁 従業員レクリエーション旅行や研修旅行

[事例1]

  1. イ 旅行期間3泊4日
  2. ロ 費用及び負担状況 旅行費用15万円(内使用者負担7万円)
  3. ハ 参加割合100%

・・・ 旅行期間・参加割合の要件及び少額不追及の趣旨のいずれも満たすと認められることから原則として非課税

[事例2]

  1. イ 旅行期間4泊5日
  2. ロ 費用及び負担状況 旅行費用25万円(内使用者負担10万円)
  3. ハ 参加割合100%

・・・ 旅行期間・参加割合の要件及び少額不追及の趣旨のいずれも満たすと認められることから原則として非課税

[事例3]

  1. イ 旅行期間5泊6日
  2. ロ 費用及び負担状況 旅行費用30万円(内使用者負担15万円)
  3. ハ 参加割合50%

・・・ 旅行期間が5泊6日以上のものについては、その旅行は、社会通念上一般に行われている旅行とは認められないことから課税

国税庁 従業員レクリエーション旅行や研修旅行

福利厚生費として計上できる10つの事例

1.慶弔見舞金

  • 結婚祝、出産祝
  • 見舞金、香典などの慶弔金
  • お祝いの品、花輪の費用

金額は、支給を受ける役員・従業員の地位などに照らして社会通念上、妥当と認められるものであれば、課税されません

上記の費用は、全額損金として税金を減らすことができます。

2.通勤費

通勤費は、正社員・パート・アルバイトにかかわらず、福利厚生費として計上することができます。

受け取った金額は、一定限度額までは所得税が非課税となります。

自宅から会社までの交通費は「福利厚生費」

会社以外の取引先などへの移動費用は「旅費交通費」となります。

※旅費交通費とは役員や従業員が、業務を行うために会社以外の場所へ移動するのに要した費用のこと

3.健康診断費用

役員や従業員を対象とした健康診断費用や人間ドックの費用ついては、福利厚生費で処理することができます。
ただし、福利厚生費で処理するためには3つの要件があります。

健康診断費用の要件1.全役員・従業員を健康診断の対象者とすること

2.健康診断を受けた全員分の費用を会社が負担すること

3.健康管理上必要とされる程度の常識の範囲内の費用であること

費用については、会社が直接、診療機関に支払いをする必要があります。

会社がお金をいったん社員に渡して、社員が自分で診療機関に支払う場合は、福利厚生費には該当せず給与として課税される

4.社内レクリエーション費用

忘年会、新年会、歓送迎会などの社内レクリエーションの費用は、福利厚生費として計上できます。
ただし、これにも要件があります。

忘年会などのレクリエーション費の要件1.全社員を対象とすること

2.会社の費用負担が一律であること

3.会社が負担する金額が、社会通念上高額にならないこと

※社員へ現金で支給すると給与もしくは接待交際費とみなされ課税対象となる

5.社宅

社宅家賃の福利厚生費における計上は、従業員と役員とでは取り扱いが異なります。

従業員の場合

会社が使用人に提供する社宅については、賃貸料相当額の50%以上の金額を使用人から受け取った場合、会社負担額は福利厚生費となります。

しかし、使用人から受け取った家賃の額が、賃貸料相当額の50%未満である場合は、その受け取った家賃と賃貸料相当額との差額は給与となります。

役員の場合

役員に提供する社宅については賃貸料相当額を役員から徴収した場合会社負担額が福利厚生費になります。

しかし、役員から徴収した家賃の額が、賃貸料相当額未満である場合には、その徴収した家賃と、賃貸料相当額との差額は給与となります。

賃貸料相当額は、貸与する社宅の床面積により、小規模な住宅とそれ以外の住宅とに分け計算します。
ただし、この社宅が、社会通念上一般に貸与されている社宅と認められない、いわゆる豪華な社宅である場合は、時価(実勢価額)が賃貸料相当額になります。

6.保養所

保養所の購入やリゾートクラブの会員権などは、要件を満たせば福利厚生費として計上することができます。

1.経済的利益が多額でないこと
2.会社役員だけを対象としていないこと

保養所の運営費と、利用者の実際の負担金額との差が、多額である場合は、その差額が給与とみなされます。
また、実際の利用者が、役員のみであった場合にも給与とされます。

7.食事代の補助

役員や従業員に支給する食事は2つの要件をどちらも満たしていれば、福利厚生費として計上できます。

1.役員や従業員が、食事の金額の半分以上を負担している(残業や宿日直のぞく)

2.次の金額が1か月当たり3,500円(税抜き)以下

食事の価額ー役員や従業員が負担している金額

上記の要件を満たしていなければ、食事の金額から役員や従業員の負担している金額を差し引いた金額が、給与として課税されます。

また、深夜勤務者については、夜食の支給ができないため、現金で1食当たり300円(税抜き)までは福利厚生費として計上できます。

8.社内同好会への補助

社内の親睦等を目的として組織されている同好会やサークル活動に対して、会社から一定金額を支給する場合は、条件を満たしていれば福利厚生費とすることができます。

1.役員のみでなく、参加したい従業員であれば誰でも参加できる状態にあること

2.参加しない人に対して、別途現金が支給されるようなことがないこと

3.支給される額は、社会通念上妥当な額であること

9.外部の福利厚生サービスの利用費

中小企業ですと、独自に福利厚生制度を導入するのが難しいため、外部の福利厚生サービスを利用することもあると思います。

この外部の福利厚生サービスの利用費は、福利厚生費として計上できます。

福利厚生費として計上するためには、役員だけでなく従業員も含めた社員全員を加入対象とする必要があります。

10.育児・介護関連

育児・介護関連費用は、福利厚生費として計上することができます。

育児費用とは保育園料の補助やファミリーサポートを利用した時の補助などです。

介護費用とは介護保険対象サービスを利用した時の補助などがあたります。

全社員が利用できるよう社内規定に記載しておくことが必要となってきます。

まとめ

福利厚生費について最低限知っておきたいこと、いかがだったでしょうか?少しでも役に立つ情報を提供できたら嬉しいです。

福利厚生費の他にも消耗品費等について詳しく説明しています。消耗品費は重要です。しっかりと知っておきましょう。

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