ネットパワー型Webマーケティングとは?

ネットパワー型Webマーケティングとは?

ネットショップは開店のための費用が少なくてすみ、手軽に始めることが出来るため多くのお店が出店している。現実社会の約160万店に比べれば、ま だまだ少ないと言えるが店舗間の競争は激しくなってきている。このような中、ただ単に出店をしても売上が上がらないのは当たり前と言えよう。「ネット ショップ成功のためのWebマーケティング」では、ネットに出店はしてみたもののお店の売上が上がらない店舗経営者に、ネットパワー型Webマーケティン グを紹介しながら、問題解決のヒントを紹介する。Webマーケティングというと一時的に売上を上げるための方策が多いが「継続は力なり」との言葉どおり、 事業継続性を意識した内容を紹介していく。

全体の構成としては「集客する」「初めて買ってもらう」「もう一度買ってもらう」「お得意様になってもらう」のお店の成長と同じ順序で進めることとする。

集客をする

お店を開いて最初に直面する問題はお客様が来ないという問題である。現実社会の店舗では、人通りがあり建物や看板を見つけて入ってくれるお客様がい るが、ネットショップでは何もしないと知り合いしか訪れない。もちろん現実社会の店舗であっても人が通らない裏通りに店舗を出したならば誰も来ないかもし れない。現実社会の店舗では、立地は非常に重要であり店舗の成否の多くを左右する。ではネットショップではどうであろうか。ネット上には場所も距離も存在 しないので、人がたくさん集まるところの立地が良いのである。そのようなところにネットショップをオープンするのも重要であるが、自らさまざまな方法に よって集客すると、立地が良いのと同じこととなる。ネット上では立地は自ら良くすることが出来るのである。第1部は、自ら立地を良くするための集客方法を 紹介する。

まずは、チェックシートで集客を意識した店舗運営が出来ているかを確認して欲しい。

開店したけれどお客様が来ない

あるメーカーがネットショップをオープンした。スーパーブランドではないけれど雑誌で取り上げられたこともあり現実社会の販売店ではそれなりに売れていたが、ネットショップの方はいっこうに売れなかった。

話は変わって、ある自動車中古パーツを取り扱う業者が中古パーツをオークションに出品してみたところ、次から次へと質問が来て実務に影響が出るまでになってしまった。

インターネットの利用者は9,408万人、ネット上で買い物をする人はこのうちの半分以上に上ると総務省の情報通信白書2009年版にある。こんなにお客様がいるのにお客様が来ない店がある。一方、畳やドラム缶などこんなものが売れるのかというものが売れたりしている。

冒頭の2つのお店は、どちらにお客様が多く来ているかわかっただろうか。一方はネットのお店を作るための投資をして華々しくオープンした、もう一方 はパーツの写真を撮ってオークションに出品するだけであるから、素人でも出来ることしか行っていない。それなのにこのような差が出てしまうのはなぜであろ う。

ネット上にきれいなお店をオープンしたとしてもお客様を集める努力をしなければ、誰も通らないところに店舗を出したのと同じことでお客様は来ないのである。すなわち立地の悪いところに店舗を出したのと同じことなのである。

一方、オークションに出品した場合はオークション自体に人気があり人が集まっているので普通では売れないようなものまで反響があるのである。

このようにネット上には人が集まるところと集まらないところがあり、しかもそれは固定化していない。なぜならば、ネット上には距離が存在しないためコストの負担なしに移動できてしまうので、いとも簡単に人の流れが変わってしまうからである。

現実社会ではお店を建ててしまうと後で立地を良くすることは出来ないが、ネットショップでは自分でお客様を集める施策を行えば行うほど立地を良くすることが出来るという大きな特徴がある。

ではいったいどのようにして集客すればよいのだろう。

お客様はどこにいるのか

「集客する」とはどうゆうことかを考えてみると、まずお店の存在に気づいて、次に興味を持って来店してもらうようにすることが「集客する」と言うこ とである。誰でもいいから大勢の人に来てもらうのではなく、興味を持って来店してくれることが重要である。お店で売っているものを欲しいと思ってくれるお 客様が来ないと結局は売れないからである。

「集客する」に当たってまず考えなければいけないのはお店に来て欲しいお客様はどのような人かということである。そのためにお客様を明確に定義する 必要がある。まずはいくつかのセグメントに分け、その中からターゲットを絞り込むようにする。ターゲットが明確になったならばその行動パターンを予測しな がらその人達はどこにいるのかを調べ、それらの情報を元に一番効果が高いと思われる方法で情報を届けなければならない。

現実社会ではお店の周りに住んでいたり、駅の乗降客であったり、ショッピングモールに来た家族連れであったりする。ネット社会ではパソコンやモバイ ル端末を使ってインターネットにアクセスしており、そのインターネットを使って行っている行動パターンを考えなければならない。一般的にはパソコンの場合 は、調べる、探すなどの目的を持って使っている場合が多く、モバイル端末の場合は暇つぶしに見ていることが多いようである。

現実社会で集客を考える

ネットショップの話に入る前に、現実社会の集客のことを考えてみよう。もちろん立地だけで充分なお客様が来ていればそれ以上の施策は必要ないが、そ うでない場合はさまざまな施策を行う必要がある。消費者の行動心理として有名なものに「AIDMA」(アメリカのローランド・ホールが提唱した「消費行 動」の仮説)というものがある。A「Attention(注意)」I「Interest(興味、関心)」D「Desire(欲求)」M「Memory(記 憶)」A「Action(行動)」である。またネット上の消費者の行動心理は、「AISAS」で表されると言われている。(「AISAS」は株式会社電通 の登録商標)A「Attention(注意)」I「Interest(興味、関心)」S「Search(検索)」A「Action(行動)」S 「Share(情報共有)」である。どちらにしても、A「Attention(注意)」I「Interest(興味、関心)」があり、気づかせること、伝 えることの重要性が語られている。

現実社会で気づいて興味を持ってもらうには、お客様とのコミュニケーション手段を持ち、どのように伝えるかを考えなければならない。人は本や新聞を 読んだり、テレビを見たり、ラジオを聴いたりという生活の中で、さまざまなCMを見聞きして、気づいて興味を持っていることが多い。これらを使うことは集客にとっては非常に有効である。しかし、コミュニケーション手段はそれだけではないので整理してみる。

コミュニケーション手段はプル型とプッシュ型に分けることが出来る

コミュニケーション手段は、大きくはプル型とプッシュ型に分けることが出来る。プル型とはそれを見て気づき、興味を持ったお客様が来店してくれる型 である。お客様を引っ張る形になるのでプル型と呼ぶ。既にニーズが明確であり誰でも知っているような商品に対しては、このプル型のコミュニケーション手段 が有効である。裏返すとニーズが判りにくくみんなが知らないような商品をプル型で伝えても効果が少ないのである。具体的な例で見ていくと、看板を立てる、 地域のミニコミ誌に取り上げてもらう、駅前に行ってチラシやティッシュを配るなどがある。そしてホームページ開設もプルである。プッシュ型はお客様に対し て商品を押し出していく型である。具体的には来店していただいたお客様に商品の説明を店内POPなどで詳しく紹介する、セールスマンを使って商品を説明販 売する方法などである。

従来型のWebマーケティングで立地を良くする

ネット社会でお店の存在に気づかせ興味を持ってもらうにはどうしたらよいだろうか。ネット社会のお客様は、パソコンかモバイル端末を使ってインター ネットにアクセスしている。いったい母数はどのくらいいるかというと、総務省 平成21年版通信利用動向調査よりパソコンからの利用者が8,514万人(パソコンのみは1,292万人)、モバイル 端末からの利用者が6,492万人(モバイル端末のみは885万人)、パソコン、モバイル端末併用が6,492万人である。(情報通信白書2009年版よ り)では、これらの人達は何をしているのだろうか。パソコンとモバイル端末では使い方に差が出るがパソコンから見てみると、一番多いのが商品・サービス・ 店舗等のHP・ブログでの情報収集で55.8%である。2位が商品、サービスの購入で46.9%、3位がメールなどを使った情報交換で46.4%である。 一方、モバイル端末で一番多いのがメールなどを使った情報交換で54.5%である。2位が商品、サービスの購入で30.1%、3位が音楽デジタルコンテン ツの入手で29.4%である。商品・サービスの購入を行っている人は非常に多い。

 

 目に触れるところに広告を出したり、ネットの最大の利用媒体であるメールで存在を知らせる

簡単に整理すると、商品やサービスなどを調べたり、買い物をしたり、メールで連絡を取ったりしていることになる。このような行動の中で、お店の存在に気づき興味を持ってもらうことで来店してもらうには、目に触れるところに広告を出したり、ネットの最大の利用媒体であるメールで存在を知らせることであ ろう。ネット上では現実社会での看板に相当するバナー広告を出せるサービスがあり、ポータルサイトのような多数の人が集まるところに、画像や動画の広告を 出すことができる。これは現実社会の看板と同じように多くの人が集まるポータルサイトのバナー広告ほど料金が高い。

メールを使う方法として定期的に発行しているメールマガジンに広告を出せるサービスがある。メールマガジン内にお店からのメッセージとリンクのURLを載せたりしてお客様を誘導する。メールマガジンへの広告もバナー広告と同様で発行部数が多いと広告料が高くなる。

これらの広告は、現実社会の広告とまるでおなじで、成果に対する保証はないが、当たり外れもそれ程ないサービスである。これらのサービスはポータル サイトだけが行うのではなくショッピングモール内に閉じたサービスもある。また、メールマガジンへの広告では商用のメルマガ広告を頼むのではなく、見込み 客のメールアドレスを収集することができれば、自らメルマガを発行してその中で自店舗の広告を出すことが出来る。見込み客のメールアドレスを収集する方法 としては、懸賞サイトと呼ばれるプレゼント情報の集まるサイトにプレゼント企画を掲載し、メールアドレスを登録してもらう方法や、オークションなどに商品 を安く出品し、入札者のメールアドレスを集める方法などが一般的である。

これらのサービスの特徴としては個人の動きとの連動性が少なく一方向に情報を伝える方法であるため、お客様に多くの説明をしなくても既にわかっている商品を伝えるのに適している。また、広告枠数やメルマガの発行部数が決まっているため、比較的広告費が高くなる傾向にある。その為、商品一品一品の広告を行うよりも、お店の広告とすることが多く、現実社会のお店と同じようにお店の入口にお客様を誘導する。この点は、次項のネットパワー型のWebマーケ ティングとの大きな差異の部分になる。そうは言っても、ネット上の広告料金は中小企業や店舗レベルでも充分利用できる金額であり、いままで広告など考えも しなかった会社や店舗が利用して大きな効果を上げている例もある。どこで購入しても同じ商品やブランド品、そして有名なお店ではこの方法の有効性が高い。

ネットパワー型のWebマーケティングで立地を良くする

ネットパワー型のWebマーケティングとは、現実社会では距離や場所や連絡手段などの問題で不可能な方法を、ネットの特徴をうまく利用して実現させる方法である。

 ネットの利用方法については前項で説明したとおりであるが、その中の商品やサービスなどを調べる行動、すなわ ち検索と連動している広告手法がある。それは商品を調べているときに、その商品の広告が出ていたらついついその広告をクリックしてしまいたくなる行動心理 を利用している。それが、検索連動型リスティング広告である。検索時に入力されるキーワードに対して入札を行い高い金額などの条件により広告を上位に表示 する手法が取られている。この広告はクリック課金型といって広告が表示されても、その広告をクリックされないと課金されないという特徴を持っている。しか しパソコン上では検索を使って情報収集をしている人は55.8%なので検索連動型広告だけで全ての人達にアクセスできるわけではないことを理解しておく必 要がある。

どのような検索キーワードを使ったらよいかは、検索連動型広告を提供している会社のキーワードアドバイスツールを使って調べることができる。

ネットの利用方法として商品・サービスの購入

次のネットの利用方法として商品・サービスの購入がある。この購入の後の行動に連携した広告手法がある。商品を購入して使ってみた人は、その感想を 人に話したくなる行動心理を利用している。現実の社会でも気に入ったものなら5人に話すし、大きな不満を持った場合は10人に話すと言われている。ネット では人と人との間に距離がないし、情報を発信するメディアにコストもかからないので口コミは現実社会以上に簡単に広がる。この口コミを最大限に利用するこ とが出来る仕組みがあり、それがアフィリエイトである。アフィリエイトは口コミをしてくれる人に商品情報を提供し、そこから来たお客様が購入してくれたな らば報酬を支払う仕組みである。もともと口コミはコントロール不能なものであったが、報酬を支払うことによってセールスマンのように動いてもらうことが可 能になったのである。但し、商品によって紹介しやすいものとそうでないものがあるのでこの見極めをしっかりしなければならない。そして、口コミをしてくれ る人には紹介しやすい情報をしっかりと伝えなければ効果は上がらないのである。他に、商品の感想をブログという日記に書いている人達もいる。このような人 達のブログの横に広告を表示するサービスもある。これを興味関心連動型広告という。

これらサービスは個人の動き(検索)や個人が発信するブログや関連するページとの連動性が強く、お客様の嗜好と合わないと効果が上がらなくなってし まうという特徴がある。逆にお客様の嗜好と合うと説明も興味を持って読んでくれるため、新しい商品など知らない商品を伝えるのに適している。また、検索連 動型広告では検索行為に対して広告枠数があり、興味関心連動型広告もネット上の様々なページやブログの数だけ広告枠数があるので、広告費が安くまた成果報 酬型などの課金の特徴を持ち費用対効果が高い。まさに中小企業や店舗が積極的に利用できる広告と言える。

これらの特徴から、消費者が検索している商品一品一品に対して広告を出すなどきめ細かく集客をすることが出来るので、特徴を持つ商品や説明を要する商品では検索連動型広告の有効性が高い。

検索連動型広告の事例

事例をひとつ紹介する。ある開店間もないネットショップで集客のために検索連動型広告を出すことにした。そこに設定したキーワードは、‘夏 Tシャ ツ‘であり充分な単価設定を行い確実に上位に掲載されるようにした。これによりお店に来店するお客様は増えたが、なかなか購入には結びつかず、お客様の行 動を調べたら直ぐに外に出て行ってしまうことがわかった。そこでお客様の視点で検索からお店に入ってみると、店頭は夏を感じさせるものであったが、’T シャツ‘はひとつのカテゴリであり力を入れているとは思えないことがわかった。そこで特集を組んで、店頭にTシャツを並べたところ、個々の商品を見てもら えるようになった。このようにせっかく広告を出してもお店が連動していなければお客様は直ぐに出て行ってしまい、集客したことにはならないのである。

立地の良いお店を保つ

これまでの説明でネット上ではお客様を集めることがネットショップの立地を良くすることであるとわかったと思う。そしてお客様を集める方法には、従来型の方法とネットパワー型の方法がある。これらの方法は片方が有効でもう一方は効果がないというものでなく、その特徴を理解してバランスよく使っていく ことが重要である。また、ネット上の興味は変わりやすく、それらをうまく捕まえていかないと、良い立地を保ち続けることは出来ない。そのためには、イン ターネットに集まっているさまざまな情報からネット上の人達の動きを捕まえて新たな対応をしていくことが重要なのである。

そのためのサービスも出てきた。「CGM分析」といって、CGMであるブログやSNSの内容を分析してレポートしてくれるサービスである。これらも使いながら検索キーワードの入替えや商品の品揃えを変えていくことがとても重要である。

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