日本でイスラム教徒をおもてなしするときの注意点

注意

イスラム教徒とひとくくりにしても、個人差があります。
必ずしもどのイスラム教徒に当てはまるわけではありません。ご注意ください。

 はじめに

世界的にみるとイスラム教徒人口は世界人口の1/4にも及んでおり、その数は年々増加しています。イスラム教徒のお客様が日本に来ることも多くなる かもしれませんね。しかしながら、日本でイスラム教は、よく知られていない上にマスコミなどの影響で誤ったイメージを持つ方が多いです。おもてなしをする ことが決まった方はそのままではいけません!「何をしたらいいのか?」「何をしてはいけないのか?」などを知り、お客様に不快の無いよう日本を満喫しても らいましょう!

ポイント

イスラム教について、あまり知らない方からすると「守らなければいけないルールが多くあり、かわいそう」と思う方もいるかもしれません。彼らからす ると「守らなければいけないもの」ではなく、「守りたいもの」であり、それらを守ることをとても大切にしています。どんな人であれ大切だと思っているもの を侮辱されたり、可哀そうだと思われることは気持ちのいいものではありません。当たり前のことですが、大切だと思うことをお互い尊重できるといいですね。

 食事

基本的なルール

イスラム教徒は“ハラールフード”というイスラム教のルールで許可されたものしか食べることができません。豚肉は食べてはいけませんし、鶏肉や牛肉 など動物の肉でもイスラム教のルールに従って屠殺した肉しか食べることができません。一般的な日本の飲食店でお肉を食べることは不可だと思ってください。 アラブ料理専門店などではハラールのお肉を提供しているところもあります。事前にお店に問い合わせるといいでしょう。(*野菜や果物、海でとれるものはハ ラールフードなので魚介類も食べられます。)また、お酒を飲むことは一切禁止です。アルコールの入った料理やお菓子なども同じく禁止です。
イスラム教にはラマダンという断食をおこなう時期がありますが、ラマダンの時期であっても旅行中は断食をしなくてもよいというルールがあります。ラマダンの時期に接待する場合、先方に食事について尋ねるとよいでしょう。

▼食べてはいけないもの

  •  豚肉(豚のエキスが入ったスープも不可。豚肉と一緒に料理された品も不可。)
  • ハラールでない肉各種(肉のエキスが入ったスープも不可。肉と一緒に料理された品も不可。)
  • アルコールが入っているもの(熱でアルコールが飛んでいても不可。)
    他にもルールはありますが、最低限気にしたいのは上記の3点です。

注意

肉に対してのルールは厳しく、例えば”ポークカツ”を揚げた油で”海老フライ”を揚げたとしたら、その”海老フライ”は厳密に言うと食べられません。食べ物には十分注意を払ってください。

オススメの食べ物

  • ・日本料理: お寿司、天ぷら、おにぎり、うどん、そば
  • ・果物類: 日本の果実はジューシーで甘く、美味しいので提供すると喜ばれると思います。
  • ・ケーキ類: 日本の美しいケーキ類は女性が好むはずです。アルコールが入っていないかだけ確認してください。

ポイント

一般的に外国人が好まない食べ物は宗教に関係なく受け入られない傾向があります。生魚が嫌いな人もいますし、素手で握られたお寿司を気持ち悪いと思う人もいます。お客様の好みに合わせて、いろいろとチャレンジしてもらえるといいですね!

お祈り

基本的なルール

通常、一日5回決まった時間にメッカのカアバ神殿の方を向いてお祈りをします。旅行中はお祈りをしなくてもよいというルールがあるため、旅行中はお 祈りをしないイスラム教徒もいます。熱心なイスラム教徒は旅行中でもお祈りがしたいと思っている方もいます。そういう方にはお祈りが出来るように配慮して ください。

▼外出時でも人目をはばからずお祈りが出来る場所

  • モスク(イスラム教徒がお祈りをするモスクは日本各所にあります。)
  • 洋服屋さんの更衣室
  • 近くにあるホテル(交渉の余地がありますが。。。)

注意

お祈りは額を床につけるため、出来るだけ清潔な場所を提供してください。
また、お祈り前に足や手、顔を洗って清める必要があるので、手足顔が洗えるところに案内してください。トイレなどでいいでしょう。

 服装

 基本的なルール

 ▼イスラム教徒の男性

民族衣装のようなものを着ているかもしれませんし、洋服を着ているかもしれません。ひざ上からへそまでのどこかが見える格好はタブーです。

▼イスラム教徒の女性

通常、女性は“ヒジャーブ”と呼ばれるスカーフのようなもので髪の毛を覆っています。中には頭と口もとを覆って目だけを出している方もいます。それ を無理に外させることは絶対にしてはいけません。また服装は、民族衣装のようなものを着ているかもしれませんし、洋服を着ているかもしれません。普段民族 衣装を着ている方でも、旅行中は洋服を着る方は多くいます。どちらにしても体の線が見えない、ゆったりとした露出の少ない格好をしていることが多いでしょ う。基本的に膝ひざ上からへそまでのどこかが見える格好はタブーです。厳密に言うと顔と手のひらしか見せないということがルールでそれを守っている方もも ちろんいます。

▼おもてなしする側の服装(イスラム教徒でない女性のみ)

胸元の大きく開いた服や、袖のない服、またひざ上が見えるほど短いパンツやスカートは出来るだけ避けた方がいいです。髪の毛を隠す必要はありません。

 行かない方が無難な場所

基本的なルール

イスラム教のルールで良くないとされている場所はできるだけ避けてください。また、イスラム教徒でも寺院や神社などに訪れることは出来ます。観光で いらっしゃる方なら有名な寺院や神社に行きたいと思っている方も多くいらっしゃるかと思います。ただ、そういった場所でお参りすることはできないのでお参 りの強要はしないでください。おみくじも無理に勧めないほうがいいでしょう。

▼バーやクラブなどお酒を提供するお店

お酒を提供する夜のお店やクラブには案内しない方がいいでしょう。お客様本人がお酒を飲まなくても、お酒のある環境に行くこと自体、気持ちのいいも のではない方がいらっしゃいます。日本でお酒を提供していない飲食店は少ないので、飲み屋ではなければ許容範囲かと思います。心配なら事前にお客様に尋ね ておく方がいいでしょう。

▼競馬場、パチンコなど賭けごとをする場所

イスラム教のルールで賭け事をすることは許されていません。お連れしない方がいいです。

▼大浴場、プール、海水浴

服装の項目に書きましたが、男女ともにひざ上からおへそまでのどこか一部でも見えてしまう格好はしてはいけませんし、人のを見るのもよくありません。(同性同士でも禁止)このルールに触れてしまうようなところに案内しない方が良いでしょう。

ポイント

・温泉は一人でお風呂に入れるようなところはOKですし、足湯も問題ないです。
・海水浴者がいない海へBBQをしに行くことは問題ないです。

 挨拶のマナー

 基本的なルール

▼握手、ハグ

同性と握手やハグをすることはOKですが、異性とは挨拶であっても握手やハグをしない方がいいでしょう。相手が手を出してきたら握手をすることは OKです。とても熱心なイスラム教徒になると異性に触れない方もいます。ご自分が男性で相手が女性の場合はより注意してください。

 ホテル

ホテル内での注意点

▼密室に男女が二人でいてはならない

寝る部屋は男女で分けておくべきです。(夫婦や家族はもちろんOKです)また、どんな場所でも男性と女性が部屋で二人っきりになる状況は許されませ ん。そのような状況は必ず避けましょう。どうしても避けられない場合、ドアなどを開け密室にしないことをお勧めします。ホテルやお部屋などを案内する場 合、同性の方が案内する方が好ましいです。

▼お酒を置かない

ホテルのお部屋内にミニバーなどがついていたり、冷蔵庫にお酒が入っていたりする場合があります。出来たらホテル側に事情を説明して、部屋にアル コール類を一切置かないようにしてもらうといいでしょう。これは絶対条件ではありません。おもてなしの心として出来たら素敵ですね。

おわりに

慣れない習慣やルールが多いため、気を遣うことが多いと思います。どんな文化であっても相手を敬い、心のこもった対応をすることが一番大切です。疑問や不安があればその時々に尋ねればいいのです。あまり難しく思わず楽しく日本を案内してみてください。心は通じますよ!

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