お葬式というと普通は仏式で執り行われますが、ときには神式で執り行われる場合もあります。普段あまりなじみのない神式の葬儀の作法を簡単にご紹介します。
注意
- ここでは一般の参列者向けにポイントを絞っていますので、所作の細かい部分や文中の用語などはあまり厳格なものではありません。その点はご容赦ください。
服装・持ち物
服装については神式でも仏式でも何ら変わりありません。
ただし、数珠は使いませんので持参する必要はありません。
不祝儀袋
神式の場合、「香典」ではなく「玉串料」と呼ばれます。
ですから、不祝儀袋の表書きは「御香典」では不適切で、「御玉串料」「御霊前」などとします。
「御霊前」がもっとも一般的でしょうか。
祭詞奏上
仏式ではお坊さんによってお経が唱えられますが、神式では神主さんによって祭詞(いわゆる「のりと」)が読み上げられます。
祭詞には故人の経歴や功績、趣味などが織り込まれています。
古語とはいえ日本語で書かれていますので、おおかたの内容は聞いて理解できます。
じっと耳を傾けて故人に思いを巡らせてください。
玉串拝礼
仏式での「お焼香」に相当するのが、「玉串拝礼」です。
参列者ひとりひとりが、玉串と呼ばれる榊(さかき)の枝を祭壇にお供えします。
玉串拝礼の流れ
- 神主さんから玉串を受け取ります。
- 祭壇の前に進み、玉串を捧げます。
- 「二拝二拍手一拝」して席に戻ります。
玉串の捧げ方
- 神主さんから玉串を受け取たっとき、玉串の根元は右手の側にあります。
(時計の3時の方向) - 祭壇の前に進んだら玉串を時計回りに90度回し、根元をいったん自分の側に向けます。
(時計の6時の方向) - ここで右手と左手を持ち替えます。
- 続けて時計回りに180度回して、根元を向こう側に向けて祭壇に供えます。
(時計の12時の方向)
ポイント
- 回す方向は時計回りに270度です。
- 手を持ち替えずに一気に回そうとすると、確実に手がねじれます。
二拝二拍手一拝
平たく言うと、「2回お辞儀をして、2回手を合わせ、1回お辞儀をする」ということです。
手を合わせるときは音を立てずに、静かにそっと合わせるようにしてください。
- 神社でのお参りの仕方と基本的に同じですが、葬儀のときは手を合わせる際に「パンッ、パンッ!」と音を立ててはなりません。
- 忌明けを迎えるまでは音を立てないのがならわしです。
最後に
以上、なるべく簡単に書いたつもりでしたが、それでも十分ややこしいですね。
神式の場合、みなさん不慣れで当然ですので、形式的なことに気を取られすぎる必要はありません。
心をこめてお参りすることがいちばんの作法だと心得ていれば大丈夫です。