消耗品費とは

消耗品費とは

消耗品費は以下いずれかに該当するものになります。

1.価格が10万円未満
2.使用できる期間が1年に満たないもの

消耗品というとプリンター用紙やインクカートリッジなどの事務用品が真っ先に浮かびますが、パソコンやプリンターなども10万円未満ならば消耗品費に該当します。

個人事業での消耗品費とは?

個人事業主が知っておきたい4つの税金

1.取得価額が10万円未満

10万円未満又は使用可能期間が1年未満のものは減価償却せず購入時に経費(消耗品費)にしてしまって良いです。

  1. (1) 使用可能期間が1年未満のもの
    この場合の「使用可能期間が1年未満のもの」とは、法定耐用年数でみるのではなく、その法人の営む業種において一般的に消耗性のものと認識され、かつ、その法人の平均的な使用状況、補充状況などからみて、その使用可能期間が1年未満であるものをいいます。
    例えば、テレビ放映用のコマーシャルフィルムは、通常、減価償却資産として資産計上し、法定耐用年数2年で減価償却しますが、テレビ放映期間は1年未満であることが一般的です。したがって、テレビ放映の期間が1年未満のものは、「使用可能期間が1年未満のもの」に該当します。
  2. (2) 取得価額が10万円未満のもの
    この取得価額は、通常1単位として取引されるその単位ごとに判定します。
    例えば、応接セットの場合は、通常、テーブルと椅子が1組で取引されるものですから、1組で10万円未満になるかどうかを判定します。
    また、カーテンの場合は、1枚で機能するものではなく、一つの部屋で数枚が組み合わされて機能するものですから、部屋ごとにその合計額が10万円未満になるかどうかを判定します。

国税庁 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示

10万円未満なら消耗品費にしてしまって問題ありません。

取得価額が10万円未満のものは、通常1単位として取引されるその単位ごとに判定します。」となります。

1.取得価額10万円未満の資産で一時に損金処理を行ったものは償却資産の課税対象外

つまり購入した物品が10万円未満であれば個人でも法人でも一括で費用計上できるので償却資産税の課税対象とはなりません

高額な物を購入した時、消耗品費で処理する?減価償却ってなに?

2.取得価額が20万円未満

処理方法 償却期間 固定資産税 条件
一括償却資産 3年 対象外
減価償却資産 耐用年数による 対象
少額減価償却資産の特例 一括 対象 青色申告者

取得価額 選べる処理の方法
10万円 ~ 20万円 一括償却資産 or 小額減価償却資産の特例 or 減価償却資産

取得価額20万円未満のうち一括償却資産として3年均等償却を行ったものは償却資産の課税対象外です。

20万円未満の場合には簡便的に3年間で償却する「一括償却」も認められています。「一括償却資産」とは取得価額20万円未満の減価償却資産の取得を行い当該資産を3年間にわたって税務上の一括均等償却をする際に計上する勘定科目のことです。

例えば15万円のパソコンを買った日付に関わらず、
1年目5万円、2年目5万円、3年目5万円と、3年間にわたって5万円ずつ経費にできます。

一括償却資産として3年均等償却を行っていれば課税対象とはなりません

一括償却資産とする場合のみ、固定資産税の対象外になります。
ただし、固定資産税は、課税標準額が150万円(免税点)未満の場合には課税されません。
その点もおさえておきましょう。
簡単に言うと、数十万円のパソコンを1台持っているぐらいでは、
どの方法で処理しても固定資産税はかかりません。

通常の減価償却計算で費用化している場合には、償却資産税の課税対象となります原則として耐用年数表に基づいて減価償却することになります。

少額減価償却資産の特例は青色申告者である中小企業者に限って使用できます。

取得金額が30万円未満の減価償却資産についても、その取得金額の全額を一括して消耗品として損金処理が可能です。詳しくは消耗品費の例外をご参照ください。

車を購入した際、消耗品費に含んでよいのか?パート1

3.取得価額が30万円未満(青色申告の中小企業者に限る)

処理方法 償却期間 固定資産税 条件
少額減価償却資産の特例 一括 対象 青色申告者
減価償却資産 耐用年数による 対象

取得価額 選べる処理の方法
20万円 ~ 30万円 小額減価償却資産の特例 or 減価償却資産

青色申告者である中小企業者に限って、少額減価償却資産の特例が使用できます。

取得金額が30万円未満の減価償却資産についても、その取得金額の全額を一括して消耗品として損金処理が可能です。

そしてさらに、青色申告者であって、従業員数1,000人以下などの一定の条件を満たした中小企業者は期間限定(平成30年3月31日まで)で取得金額10万円以上、30万円未満の減価償却資産の合計額が300万円を限度として全額損金算入が可能です。


4.取得価額が30万円以上

取得価額 処理の方法
30万円以上 減価償却資産

処理方法 償却期間 固定資産税 条件
減価償却資産 耐用年数による 対象

これが通常の減価償却です。
パソコンの法定耐用年数は4年なので、この場合、4年にわたって少しずつ経費にします。

「一括償却資産」とする場合のみ、固定資産税の対象外になります。
ただし、固定資産税は、課税標準額が150万円(免税点)未満の場合には課税されません。
その点もおさえておきましょう。
簡単に言うと、数十万円のパソコンを1台持っているぐらいでは、
どの方法で処理しても固定資産税はかかりません。

消耗品費の例外(平成30年3月31日までの特例)

例外として青色申告者である中小企業者には「少額減価償却資産の特例」があります。

本来、資産は財産として扱われますが、この特例を使用すると、購入価格が30万円に満たない少額減価償却資産(以下:少額資産)を資産ではなく損金(出費のこと)として計上することができます。事業年度ごとの合計額300万円未満までが対象です。

この特例の対象となる資産は、取得価額が30万円未満の減価償却資産(以下「少額減価償却資産」といいます。)です。
ただし、適用を受ける事業年度における少額減価償却資産の取得価額の合計額が300万円(事業年度が1年に満たない場合には300万円を12で除し、これにその事業年度の月数を掛けた金額。月数は、暦に従って計算し、1月に満たない端数を生じたときは、これを1月とします。以下同じ。)を超えるときは、その取得価額の合計額のうち300万円に達するまでの少額減価償却資産の取得価額の合計額が限度となります。

※この特例の対象となる法人は、青色申告法人である中小企業者又は農業協同組合等で、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人に限られます。また常時使用する従業員数の基準については、平成28年4月1日以後に取得等をする少額減価償却資産について適用されます。

国税庁 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

少額減価償却資産の特例の適用範囲

取得価額が30万円未満である減価償却資産について適用されるのは上記の通りですがそれが適用されるのは具体的に下記のものです

器具及び備品、機械・装置等の有形減価償却資産のほか、ソフトウェア、特許権、商標権等の無形減価償却資産も対象となり、また、所有権移転外リース取引に係る賃借人が取得したとされる資産や、中古資産であっても対象となります。

消耗品費具体例

・文具全般(消しゴム・糊・はさみ・筆記具・ノートなど)名刺・伝票類・紙など
・電球・花・印鑑・湯のみ・時計など
・事務用机・掃除機・ロッカー・本棚など

消耗品費という項目は使い勝手がよく、膨らみがちです。まとめて消耗品費としてもいいのですが、せっかくなのでスマートな区分法をご紹介します。

1.消耗品費と事務消耗品費に分ける
工具などを使用する会社なら、さらに工場消耗品としても区分できます。

2.価格で分ける
少額減価償却資産の特例の場合には、10万円以上の少額資産も消耗品費として計上できます。少額資産については補助科目で区分しておくと見やすいでしょう。

「消耗品費」と「消耗品」の違い

「消耗品費」と「消耗品」は異なりますので注意が必要です。

消耗品費は経費ですが、消耗品は資産となります。

例えば、大量のボールペンを購入し倉庫に保管しておく場合には、消耗品(資産)として計上し、後に使用した分だけ消耗品費(経費計上)に仕訳することも可能です。どちらを選ぶかは自由ですが、どちらの場合も決算時に振替をしなければなりません。

「消耗品費」と「消耗品」の違いとは

雑費とは?消耗品費との違いとは?

消耗品費と固定資産の違いとは?

消耗備品費と消耗品費の違いとは?

「消耗品費(経費)」の決算時振替

決算時に使用していない消耗品があった場合、「消耗品費(経費)」から「消耗品(資産)」に振替を行う。振替分は翌期に元の「消耗品費」に戻す。

「消耗品(資産)」の決算時振替

使用した分だけ「消耗品(資産)」から「消耗品費(経費)」に振替を行う。

似たような名前でも経費か資産かで取り扱いが全く変わりますのでご注意ください。

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